私はこれまで中小および小規模企業の
メーカー数社で営業に関する仕事をしてきました。
対象顧客は卸売業や小売業を営む法人企業です。
主な営業品目は、バッグ、小物等の服飾雑貨と
お菓子等の食品です。
最初の営業は、定期的に既存顧客を訪問して
商品を販売するルートセールでした。
ルートセールスで安定した売上を構築すると
いうのは営業の重要な任務のひとつです。
現実、既存顧客に対しても継続して提案を
しないと売上を伸ばすどことろか、現状維持
さえも難しいからです。
ゆえに、売上を伸ばすという営業本来の
任務を遂行するには、ルートセールスだけ
では難しいところがあります。
売上を伸ばすには、新規の顧客獲得や
販売ルートの開拓が必要となります。
既存顧客で売上を確保しながら
新規の顧客獲得や販売ルートの開拓で
売上をプラスしていくしかありません。
そのためには、如何に営業提案書が
必要であるかを、これまでの事例を交え
ながらお話させていただきます。
まずは、服飾雑貨業界における既存顧客への
提案事例からお話させていただきます。
目次
既存顧客に対して新規商品を導入したケース
全国の百貨店の家庭用品売場で
コーナー展開をされていた顧客に新規商品を
導入して売上がアップした事例です。
当時、顧客は既に全国の主要百貨店と
お取引があり、取り扱い店舗を拡げることで
売上を伸ばすというのが難しい状況でした。
そのような状況の中、顧客より売上を伸ばす
ためにどうすれば良いかを提案してほしいと
いう依頼をお受けしました。
売上を伸ばすためには、どのような提案を
すればよいのか…
・既存商品の回転数を上げる
・新規商品の導入で新たな需要を作り出す
といったアイデアが浮かびましたが…
宣伝することで回転率を上げ、売上を伸ばす
という方法もありますが、確実性とコスト面から
現実的ではないと判断しました。
残されたアイデアは
新規商品で新たな需要を作り出し
売上を伸ばすという方法です。
何かヒントになることはないかと思い
顧客の売場およびフロアーで販売されている
商品のリサーチをおこないました。
新規商品と言っても、これまでお取扱い
されていない商品では、売上につながる
確率はかなり低いと考えれます。
そこで、提案する商品を次の2点に
絞ることにしました。
1. 既に取扱いされている定番品(無地)
2. 売場では取り扱われていないが
フロアーでは取り扱われている商品(無地)
次に、商品を絞り込んだ理由とともに
下記の商品企画をもとに営業提案書を
つくりました。
1. 売場にある定番品(無地)を柄物の
生地に載せ換える
2. 売場では取り扱われていないが
同じフロアーで販売されている商品
(無地)を柄物の生地に載せ替える
リスク軽減のため、導入時はアイテムを
絞り込み、売り行きを見ながら増やす
商談した結果、営業提案書の内容通り
1.2のを商品化が決まりした。
1.はこれまで無地しかなかった定番品に
柄物を加え、選択肢が広がったことで売上の
伸びにつながりました。
2.はこれまで売場になかった商品を
アレンジすることで、競合商品との差別化が
でき、それが売上の伸びにつながりました。
発売がスタートして
3年後には売上が2倍になりました。
次は、服飾雑貨業界における
新規ルート開拓の提案事例について
お話させていただきます。
新規顧客に対して既存商品を販売したケース
服飾雑貨メーカーにおいて、全くお取引の
なかった百貨店ルート新規開拓についての事例です。
扱っている商品に少し特長はありましたが
消費者に認知されていないメーカーのオリジナル
商品ですので、即導入というわけにはいきません。
百貨店で取り扱っていただくには
アポイントを取ることも難しい状況でした。
どうしたら、アポイントがとれるのか
商談ができたとしても、どのような提案を
すれば導入に至るのか…
顧客が求めているもの、自社製品の特長
その二つが重なり合う訴求ポイントは何で
あるのか…
そのポイントが見つかれば、活路が見出せる
のではないかと考えたところ、下記のポイントが
浮かんできました。
・当時扱っていた商品は、本体素材に他社が
あまり扱っていない素材を使用している点に
特長があった
・顧客(百貨店)において、そのような商品の
取扱いが少なかった
上記のポイントから下記の仮説を立てました。
①弊社の商品を取り扱うことにより、売場に
目新しさを演出できる
➁目新しさ=既存商品と競合しないため
売上の純増が見込める
※新規商品を導入しても既存商品と同じような
商品であれば、既存商品の売上を新規商品に
とられる形となり売上の純増に結びつかない
仮説にもとづいてつくった営業提案書をベースに
商談の結果、導入が決定しました。
導入スタートから3年で大手百貨店5社約30店舗で
お取扱いいただけることになりました。
提案事例についてお話させていただきましたが
どのような案件でも営業提案書をつくる時に
気をつけていることがあります。
営業提案書をつくる時に気をつけていること
営業提案書をつくる目的は
プレゼン資料の作成方法については、今では
本やブログ等でさまざまな情報を得ることが
できます。
その情報に基づいて、見栄えの良いプレゼン
資料を作成するのは、そんなに難しいことでは
ないと思われます。
グラフや画像を挿入したり、色をつけることで
見やすい、わかりやすい資料をつくることは
必要です。
しかし、お話している通り、資料をつくる
目的は成約をとる、売上を伸ばすことが目的で
あるということです。
ですので、私は『プレゼン資料』ではなく
少しでも気持ちが伝わるように『営業提案書』
という言葉を使っています。
プレゼンのための資料つくりと、目的が何で
あるのかを意識してつくる営業提案書とでは
おのずと結果に差が出てくると考えています。
どのようなポジションの方に提案するのか
どのようなポジションの方なのか
どのような段階を踏んで成約に至るのか
今はどの段階なのか
それをあまり考えずに作成されるプレゼン資料が
多いように思われます。
担当で発注権限がない方なのか
発注の権限をもたれている方なのか
それによって、おのずと営業提案書の
つくり方を変えた方が良いと考えています。
発注権限があり、お忙しい方であれば
A4一枚に要点をまとめて結論と要望を
記載した営業提案書をつくるようにします。
なかなか提案書をじっくり読んでいただく
説明させていただく時間が取れない方が
多いからです。
逆に担当の方であれば、ある程度ボリューム
のある営業提案書が必要であると思います。
実際に担当の方から、上司へ稟議を出すに
あたり、ボリュームのある提案書がほしいと
いうお話がよくお聞きします。
最後に食品業界において営業提案書を活用した
ことで、売上拡大につながった事例についてお話
させてせていただきます。
営業提案書の活用事例について
成約をとる、売上を伸ばすために
営業提案書をつくるというお話をして
きました。
営業提案書は大切ですが、それと同じように
提供する商品・サービスも大切です。
いくら魅力のある商品でも、顧客にその商品の
魅力をお伝えしないと成約には至りません。
逆もしかりで、いくら内容の素晴らしい提案書を
つくっても、それに見合う商品でないと成約には
至りません。
そう考えると営業提案書と商品は、成約をとる
ための両輪の関係です。
営業活動における営業提案書活用事例について
どの企業でも見受けられるのが、営業マンの
スキルの差によって生じる営業成績のばらつきです。
その原因は、営業(提案)活動を営業マン個人に
任せることで、スキルの差がそのまま営業成績に
反映されるからだと思われます。
中途採用者や他業界からの転職者が多い場合は
なおさらその傾向が強いように感じます。
そこで、まず、営業(提案)活動を営業マン個人に
任せるのではなく、営業提案書のつくり方の情報を
共有することが重要であると思われます。
そうすることで、営業マンのスキルが標準化し
営業成績のばらつきが少なくなるからです。
スキルの標準化が=売上の土台を構築する
ことにもつながります。
ひいては営業経験のあまりない人でも一定の成約が
とれるようになる可能性が高まります。
商品つくりにおける営業提案書活用事例について
営業提案書のつくり方の情報を共有することで
これまで得ることができなかった顧客の要望を得る
ことが容易になります。
顧客の要望を商品つくりに活用できれば、タイムリーな
提案が可能になってきます。
そして、ある程度商品を絞り込んだ方が顧客の要望を
得やすくなると思われます。
成約の有無にかかわらず、その結果に至った理由を
把握することも容易になります。
成約に至らなかったとしても、その理由が
把握できれば、次の提案に活用することができ
成約の可能性を高まります。
このサイクルを早く回すことで、顧客の要望に沿った
タイムリーな提案が可能になるという流れです。
そのためにも、個々で営業提案書をつくるのではなく
少なくとも営業部門全体でつくり、その情報を共有する
必要があります。
食品メーカーにおいて、4年で
営業マン3名 売上3億を
営業マン5名 売上7億まで上げることができました。
私のこれまでの経験を
『成約のとれる営業提案書のつくり方』を土台として
売上拡大のお役に立てればと存じます。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
ご意見、ご感想をお聞かせいただければ幸いです。